通勤電車で前にいた女(6)
「ピンポーン」
次の週の金曜日夜19時30分過ぎ、
俺は意を決して香織の部屋の玄関チャイムを押していた。
もちろん香織が5分ほど前に
マンションに帰ってくるのを
確認している。
この1ヵ月というもの、
香織の週間を見続けてきた俺は
ほぼ毎日同じ生活パターンをとる
香織の生活を覚えていた。
いつものとおりなら
いまごろはジャケットを脱ぎ
バッグを片付けて
お茶を飲むためにお湯をわかしているはずだ。
「はい」
インターフォンから声が聞こえる。
俺はカラカラに乾いた状態で
1週間のあいだに
何度も練習したセリフを口にした。
「すいません。管理会社の鈴木といいます。
4階の方のお宅で水漏れが出たものですから……」
「えっ?……本当に?」
香織は少し動揺したようだ。
「そ、それで……?」
俺はさえぎるように
「はい、ちょっと簡単な確認だけでもさせていただければと思いまして。2、3分ですむかと思います」と続けながら、
伊達メガネをかけ直す。さぁ、ここからだ。
「あ、は、はい。ちょっと待っていてください」
カチャ……
チェーンが外れる音がして、ドアが開いた。
「どうぞ」と香織が顔を出す。
「ありがとうございます。お邪魔させていただきます。浴室と洗面所を見せていただけますか?」
俺は笑顔で中に入った。
「あ、は、はい。こちらです」
奥へ進もうとして香織は背中を見せた。
いまだ!
まず香織の手をねじりあげると、リビングの床に押し倒す!
そして顔をぐいぐいと床におしつけながら、
用意していた目隠しを顔に無理やりつける。
その声には答えずに、両手を縛り上げた。
そして、持参したフォークを香織の頬に押しつけながら
耳元で凄みのある声でささやいた。
「動くんじゃねぇ。騒ぐとこのナイフでぶすっといくぞ。わかったか?」
すでに体の自由がきかず、目も見えない香織は
声も出せず、ガタガタと震えながら、無言でうなずくだけだった。
よく見ると、香織は
白いブラウスに黒の短めのタイトスカート。
あの日、通勤電車で欲情したときと
ほぼ同じ格好だった。
すでに下半身がムラムラとしていた
俺はブラウスのすき間から手をいれて胸をまさぐりはじめた。
そしてしばらくすると、
香織におおいかぶさるようにして、
ストッキングにむしゃぶりついていた。
「はっ………や、やめて」
あぁ、あぁ、こ、これが毎日毎日
触りたかった香織の美臀の感触かぁ、
「うぅ………」声にならないうめき声しかでてこない。
鼻を臀部におしつけると、
俺ははぁはぁと荒々しく息をした。
「あぁ、か、香織……」
つい名前を呼んでしまったことで
香織は驚いたようだった。
体をビクッと硬直させる。
「……!な、なんで?」
ふともらした言葉に俺が答える。
「山■香織さんでしょ?何もかも知っているんだ。
だから逃げようとしても無駄だよ」
「い、いやぁぁぁ!」
香織がたどたどしく言葉を吐く。
「や、やめて!やめてくださぃ!」
「お、お金ですか?お金なら机の上に財布があります……。お願いやめてぇぇぇ」
俺は無視すると、今度は香織を仰向けにころがした。
無理やり足を開くと、局部をペロペロとなめはじめる。
無理やり犯すのは好きじゃなかった。
香織を気持ちよくして、自分から「入れてぇ」と言わせたかった。
(つづく)